15年間のエレクトーンのレッスンを通して、『先生が2章節づつ演奏したメロディーを聞きとり、私が歌う』、グレードが進むと、『先生が演奏された4章節づつを聞きとり、私が演奏する』というトレーニングを週1回行っておりました。
英会話道場イングリッシュヒルズのレッスンが始まった当時、生井先生がテキストで話す英語を練習しても、同じように話す事が出来ない壁にぶつかりました。得意と思っていた『聞き取り→表現する』ことがまったく出来ないのはなぜか?と考えた結果 、①「先生は男性であり、声が低いので同じトーンで話すのは不可能である(私の声のトーンを1オクターブ下げたら出来るのか?)」、②「先生独特の強弱、スラーがついており、この強弱はどこからきているのか?」などと、今、振り返ってみると、私は、とんでもない方向に考えておりました。
そんな時、生井先生より、『クラシック音楽を聴くようにボイスレコーダーを聴いてみて』というアドバイスを頂きました。当時の私は、固定観念が強く、頭の中で「その助言に内在する真意」について理解することができず、私は、心の中で、『先生には、私の出来ない気持ちなんてわからない。』と思ってしまう程でした。しかし、今、時が経ってみると、「私のような狭い視野では決して思いつかない素晴らしいアドバイスを下さる先生は、生井先生以外、世界中のどこを探してもいない」と、改めて気付かされます。
この貴重なアドバイスを頂いてから、クラシック音楽の聴き方も以前と比べ変わりました。演奏者・指揮者のフィルターを通して表現される演奏の中から、伝えたい思いやメッセージを感じとりたいという意識の下で、音楽鑑賞をするようになりました。また、先生の様に話せるようになるには、<1日の練習、あるいは、1か月の練習>ぐらいで決して簡単に身につくものでなく、『心を込めて話す』ことがいかに難しいかという事に気付くまで、かなりの時間がかかりました。
『心を込めて話す』、・・・口で言うのは簡単ですが、これはかなりの練習とエネルギーが必要で、テキストのリーディングの練習が終わった後は、喉が渇き、何も話したくなくなります。この感覚は、レッスンが終わる5分前の先生の状況と非常に似ており、以前は、『先生は、なんでそんなにぐったりしてるのだろう・・・』と思っておりました。実際、私のレッスンは、早朝レッスンの3コマ目。先生は、私がレッスンに来る前に、既に、2つのレッスンにおいて膨大なエネルギーを使っています。先生は、その直後、ほとんど休憩なしで私のレッスンを行うというその状況を考えると、今現在は、自分自身の練習を通して、先生のぐったりされる状況を理解できるまでに至りました。
先生の発音をまねしようとしたり、聞き取ろうとすると、不自然になる。最初は上手くいかなくても、先生の心を感じ取り、私の心で話そうとする日々の意識と練習で、少しずつ、音程や強弱を考えることを忘れ、自然と私の心の中でtuningがされ、「私独自の英語」が話せるようになったと感じます。
この感覚は、頭で理解して出来るようになるのではなく、「先生の心」を「私の心」で感じることが出来た時、自然とtuningされるものです。私は、このような”リアルな体験”を通して、人間は、このような素晴らしい機能を持っているのだと気付きました。
私が今、一番強く望むこと、単に、それは綺麗な発音で話せるようになる事ではありません。英会話のレッスンを通して、先生の哲学、考えを学ばせて頂き、理解に達し、「本質」に近づけた時、何とも言えない「大きな喜び」が心に溢れます。私はここに、英会話道場イングリッシュヒルズに通う意味があるのだと思います。私自身、実際の体験を通してわかったことは、結局、先生の発音しか関心がないと発音自体が上手になることはなく、英語での先生のレッスンを通して先生の哲学や考えを理解しようとすると、先生との「エレガントな心の旅」を満喫することができるようになり、発音も、いつの間にか上手になっていくということです。
「発音だけの興味」という、言うなれば、上辺だけ、あるいは、形だけ、先生の発音(発する声)に触れるというよりも、「先生の精神に触れ、私の心で感じ、そして、考える」、・・・この一連の流れの中に、私たち受講生における「大きな喜び」と、「英会話道場イングリシュヒルズの神髄」が隠されていると、私は考えます。